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オプション評価モデルに関するご説明

投資リスク管理

新株予約権、ストック・オプションの発行条件に応じて、評価モデルの選定・作成、 パラメータの推定を実施し、 発行条件に最も適した評価を行う必要がありますが、算定を行う流れは以下のようになります。
弊社では、新株予約権、ストック・オプション評価の目的に応じて、全てのモデルでの算定に対応可能です。

1. 発行条件に基づく評価モデルの選定・作成

新株予約権、ストックオプションの評価は主に以下の3つの方法で実施します。

  • ブラック=ショールズ・モデル
  • 格子モデル
  • シミュレーションモデル

@ ブラック=ショールズ・モデル

ブラック=ショールズ・モデルはヨーロピアン・オプション(満期時にしか権利行使をすることができないオプション取引) を評価するモデルですので、アメリカン・オプション(いつでも権利行使することができるオプション取引)を評価することは 出来ません。

正確には、ブラック=ショールズ・モデルは満期まで保有することを前提に評価を行うものですが、 プレーンなオプションの場合は、アメリカン・オプションであっても、満期まで保有する場合の価値と一致しますので、 このような場合は、利用することができます。

オプションを満期まで保有することを前提にしない場合は、オプション価値をシナリオごとに作成して計算する、 モンテカルロ・シュミレーションなどを利用します。
このような場合は、ブラック=ショールズ・モデルでは、アメリカン・オプションを評価することが出来ません。

計算式は下記のようになりますが、弊社Web上で、 ブラック=ショールズ・モデル計算フォームを 掲載しておりますので、実際の評価を依頼される前に、概算値を計算することができます。

計算式
ブラック=ショールズ・モデル



A 格子モデル

格子モデルの代表的なものとしては、二項モデル(バイノミアル・モデル)や三項モデル(トリノミアル・モデル)があります。
これらは、ブラック=ショールズ・モデルよりも複雑な計算が必要となりますが、 ある時点からの株価の変動のパターンを細分化して分析するもので、より精緻な計算結果を得ることが可能となります。
格子モデルは、全行使期間を細分化して、その度に権利行使価格と株価を比較してオプションの価値を計算しますので、 アメリカン・オプション(いつでも権利行使することができるオプション取引)の評価や、 複雑な条件のオプションもモデルに組み込むことによって計算が可能となります。
計算方法は下式の通りですが、株価の推移を下記のような格子状に推移すると仮定して、 その作成した株価の推移からオプション価値を求める方法です。

株価推移のイメージ

計算式
二項モデル

このモデルは、オプションの満期までの期間を、一定期間ごとに分けて、多数の格子を作成することによって株価の推移 を作成していきます。この際の、期間の分割数をNode(ノード)といい、 理論上はこの数が多ければ多いほど評価の精度を精緻化することができます。

具体的なシュミレーションの方法としては、

  1. 株価の推移を満期時まで作成する
  2. 作成した株価を利用して満期時のオプション価値(UL-K)を算出する
  3. 各計算時点(i)でのオプション価値(UL-K)と1期間後(i+1)のオプション価値の割引価値(期待値)を比較し、大きい方をオプション価値とする
  4. 開始時まで遡り、全体を通してのオプション価値を算定する
という流れになります。

ここで、オプション価値を求める際に上昇確率と下落確率を用いて期待値を算出していますが、 この確率をリスク中立確率といいます。 詳細な説明はここでは行いませんが、株価の上昇・下落の期待値は、無リスク資産の収益率(リターン) と等しくなると仮定した考え方になっています。



B シミュレーション・モデル

モンテカルロ・シミュレーションによってオプション価格を算定します。

複雑な条件が含まれているストック・オプションにおいても、 シミュレーション・モデルの設定次第で評価することが可能です。

この方法は、モンテカルロ・シミュレーション等によってオプション価格を算定するものですが、 シミュレーション・モデル自体は、計算過程において用いられているだけで、利用されている株価推移モデルの前提は、 ブラック=ショールズモデル等と同じ前提を置いています。

モンテカルロ・シミュレーションは、複雑な条件が新株予約権に含まれている場合にも、 格子モデルよりも楽に計算することができますので、 オプション価格評価においては、非常に重宝される計算方法です。

例えば、以下のような条件が付与されたオプションである場合は、ブラック=ショールズ・モデルでオプション価値を算定することができません。

行使価格 30,000円
期間 5年
行使可能期間 発行時〜5年
予約権の行使 株価が行使価格の50%以下となった場合は、予約権を行使できない。
株価が行使価格の500%以上となった場合は、必ず予約権を行使しなければならない。
新株予約権の取得 発行体は、株価が行使価格の50%以下となった場合は、いつでも予約権を無償で償却することができる。

上記のようなオプションの場合は、株価が行使価格の500%を越えた際には、予約権行使が行われるため、 評価額の上限が確定します。
また、株価が行使価額の50%以下となった場合は、発行体の償却によって予約権が消滅します(ノックアウト)。
このようなオプションは、プレーンなケースと比較した場合、売却益に上限が存在し、 ノックアウト(自動消滅)が発生するため、オプション価値を引き下げることができます。

ブラック=ショールズ・モデルで算定できないオプションは、具体的には、下記のような契約内容です。

  • 確率事象が等確率で発生しない契約
  • 配当率など株価推移が割引率とボラティリティ以外の要因に影響を受ける場合

ブラック=ショールズ・モデルは、満期時の売却価格の期待値によって評価を行いますので、 満期時までに行使を行うという前提が必要となる場合には、一切対応できません。

確率事象が等確率で発生しない契約とは、オプションが消滅する「ノックアウト条項」が付与されている場合など、 そもそもオプションを満期時まで保有するという前提が成り立ちません。

また、配当は権利落ちによる株価にマイナスの影響を与えますので、満期よりも前に売却した方が、 オプション価値が正しく算定されるケースが該当します。

株価の推移であるブラウン運動を利用してオプション評価を実施するものが、モンテカルロ・シミュレーションですが、 モンテカルロ・シミュレーションを用いた場合、評価は下記のようにして実施します。

  • 株価の作成
  • ノックアウト等の判定
  • 平均値から評価額の決定

■ 株価の作成
オプション価値を算定するために必要となる原資産価値(株価)の推移を、 モンテカルロ・シミュレーションによって作成します。
株価推移のイメージ

■ ノックアウト等の判定
作成した株価推移を使用して、契約による制約事項である自動消滅条項(ノックアウト)や強制償還条項(コール)などの 要因を判定します。
ノックアウトのイメージ

■ シミュレーション結果
モンテカルロ・シミュレーションによるオプション価値は、各試行(シミュレーション)によって 算定された価値の期待値(平均値)となりますので、下記のような各試行による価値を集計し、オプション価値を算定します。
シミュレーション結果のイメージ



他の条件等

主な評価方法については、前述の通りですが、具体的には、以下のような条件によって、評価モデルを選定し、 一般的な評価モデルが利用出来ない場合には独自にモデルを作成する必要が発生します。

  • 権利行使期間(行使開始日、行使終了日)
  • 権利行使のタイミング(満期日のみ、月次、随時など)
  • 権利行使価格の種類(一定・変動)
  • 権利行使価格の上限・下限の有無

行使開始日が新株予約権(ストック・オプション)の発行日よりも後に存在する場合は、 先日付の取引(先渡契約)になりますので、先日付取引自体が、デリバティブとなりますので、評価を行うにあたって、 権利行使の可能な期間と権利行使が不可能な期間の調整が必要となります。

権利行使のタイミングが、終了時点以外の場合は前述の説明の通り、ブラック=ショールズ・モデルをそのまま使用することは出来ません。
また、権利行使のタイミングに応じてモデルの調整も必要になります。
MSCBに代表される権利行使修正条項付オプションの場合(ムービング・ストライク:moving strike)についても、 モデルの調整が必要となります。
更に、権利行使価格が変動する際に、その上限値や下限値が設定されている場合は、モデルの調整が必要となります。



2. 評価に利用するパラメータの推定

主に以下のような事項に留意し、パラメータを推定します。
  • 十分に過去の株価が存在しないケースにおけるボラティリティの推定
  • 将来の配当による希薄化の推定
  • 期間構造の設定
  • 行使価格と株価の乖離によるボラティリティ・スマイル(スキュー)の設定の要否

オプションの価格を求める際に考慮すべきパラメータで最も重要なものは、ボラティリティです。
ボラティリティが大きくなるほど、オプション価格は大きくなりますので(詳細は次回以降の説明をご覧下さい)、 ボラティリティの数値の決定は慎重に行う必要があります。

次に影響を与える項目としては、配当率がありますが、これは配当が支払われた際の権利落ちによって、 株価がどう推移していくかということに影響を与えます。
配当率が大きくなるほどオプション価値は小さくなりますが、オプション価値に影響を与える要因となります。



3. オプション価格の算定

上記の1、2で決定した計算モデル・パラメータを用いて計算を行うステップです。

ブラック=ショールズ・モデルについては、弊社Web上で、 ブラック=ショールズ・モデル計算フォームを 掲載しておりますので、実際の評価を依頼される前の概算値を計算にご利用下さい。


詳しくは、下記ファイルをご覧下さい。
ストックオプション評価業務のご紹介(PDF)

具体的な評価の内容、金額に関しては、 こちら からお問い合わせ下さい。

また、ストック・オプションに関する学習は、下記のサイトをご覧下さい。
ストックオプション学習サイト:
ストック・オプション専用サイト